小さな木工

枕元の時計を新調した。

 選定基準は、まず年寄りの目でも見やすいこと、本当はアナログ時計が好きなのだが、カレンダーもほしいとなると選択肢はデジタルに絞られる。更に室温と湿度もできれば知りたい。

そして、できる限り美しいデザインのもの、と言っても機能を要求する限りデザインは二次的な基準にならざるを得ない。いくらデザインが素晴らしくても、正確でない時計は役にたたない。

 さて、選んだのが写真の時計だが、概ねすべての希望はかなえられているのだが、一点だけ不安要素がある。それは電池ではなく、コンセントからの電源を必用とするということで、なんらかの理由で停電になると即刻使用不能となり表示すらできない。

 このあたりは利便性とのトレードオフであるが、昔と違って今は家の中に時計は山ほどあるので一つ動かなくても、困ることはなにもないだろう。それより、文字表示の明るさを変えられたり、表示色も好きに設定できて、とても気に入っている。

 


 ただ、我慢ならぬのが置いた時の角度で、若干後ろに傾斜するのだ。

色々な場所に置かれることを想定して角度をデザインしているのだろうが、真っ直ぐのほうが美しいし、見やすい。理屈ではなくただの好き嫌いの問題であろう。

 たどり着いた解決策は、小さな台を作って、ほぼ垂直に置けるようにすればよいということだ。小さな板を3ピースに切ってボンドで接着して、ハイ完成である。小片とはいえローズウッドという貴重な板を使っているので、摺り漆で数回仕上げ、あえてしっとりした表情を意図した。

底にはテーブルを傷つけないように薄いフェルトを貼ってある。一段格が上がったようで至極満足している。