パン屋さん

二宮に行ったついでにパン屋によった。二宮に行く機会はなかなか無いのだが、行けば必ず立ち寄るパン屋さんだ。

　ともかくパン屋が増えている、余談だが反比例するように豆腐屋が減っている。パンは日々の暮らしに欠かせないものなので、なにより地元のお客様に愛されることが一番だろう。だからパン屋にはパン屋のスケールというものがあるような気がする。

大当たりして、全国区になるようなパン屋もあるようだが、大きくなるほどに不味くなる。

　日本のパンは今や世界有数ではないかと思われるほどに美味しいように思えるがどうだろう。日本人独特の繊細さと競争という原理も手伝ってどんどん美味しいパンが生まれる。美味しいのは結構だが、値段もびっくりというのは困ったものだ。

　二宮のブーランジェリーヤマシタのパンは、そんなパン屋戦争の中では別格だ。この日も昼を少しばかり過ぎてのことで、ひょっとしたら売り切れかなと思いながら訪ねた。

決して便利な場所ではない、駅からだいぶ距離があって老人の脚では１０分弱かかる。町外れに差し掛かる頃ヤマシタが見えてくる。驚いたのはこんな時間にもかかわらず何組かのお客が並んで順番を待っていた。随分前に訪ねたのは午前中も早い時間だったと思うが、その時も行列に並んで買ったのを覚えている。売り切れはあったが好みのパンを買うことができた。

　パン屋のレベルは上がっているが地に足のついた本物のパン屋はそうあるものではない。そんな中でヤマシタのパンは私にとって、作り手の心を感じる数少ない美味しいパンだと思っている。ちなみに私のランキングでは根府川の麦踏に次ぐナンバー２である。